次男の誕生

令和 7 年 1 月 31 日、我が家に次男が誕生した。 いろいろな出来事があったので、記憶が鮮明なうちに、今の気持ちを書き留めておこうと思う。

次男の出産予定日は 4 月 2 日だった。つまり、予定日より 2 か月以上も早い出産となった。 体重は約 1700g とかなり小さかったが、実際に目にすると、想像していたよりも大きく、呼吸も力強かった。 NICU(新生児集中治療室)で人工呼吸器をつけながら、一生懸命ミルクを飲んでいる姿からは、生きる意志の強さが伝わってきた。 きれいな言葉では表現できないが、全身チューブにつながれながらも必死に生きようとする姿を見て、自然と涙があふれた。

長男も予定日より 2 週間早く生まれていたため、今回も早生まれになるかもしれないとは思っていた。 しかし、まさか 2 か月も早くなるとは想像していなかった。

2023年秋の話

2023 年の秋、我が家にとってとても悲しい出来事があった。 それ以来、なかなかよい流れが訪れずにいたが、今回、無事に出産を迎えることができて本当によかった。 このまま、仕事や育児も順調に進んでいくことを願うばかりである。

長男との二人暮らし

2024 年 8 月下旬、妻が体調を崩し、入退院を繰り返すようになった。 そのたびに、2 歳の長男の世話を全面的に引き受ける必要があった。

当時、私は複数の仕事を抱え、さらに大学院での研究や論文執筆にも取り組んでいた。 しかし、すべてを同時にこなすのは不可能だと判断し、メインの収入源となっている仕事以外はすべて一時停止することに決めた。

生活のリズムは次のようになった。 朝、長男と一緒に起床し、パンを焼いたりご飯を用意したり、歯磨きをして幼稚園へ送る。 その後、仕事に取り掛かる。基本的な稼働時間は 9:30〜14:30。 長男を送り届けた後に仕事をし、14:30 ごろに迎えに行く。 帰宅後は夕飯を作り、長男と遊び、お風呂に入れて寝かしつける。 その後、夜中に再び仕事に取り組んだ。土日も仕事を続けた。 半分くらいは長男と一緒に寝落ちしてしまい、夜中に目覚めてから仕事をすることもあった。

ありがたいことに、多くの方々に支えられた。

特に感謝しているのは、仕事でお世話になっている方々がこの状況を理解してくださったことだ。 仕事時間を 9:30〜14:30 に限定し、それ以外は夜間や土日に対応することを許可していただいたおかげで、何とか仕事を続けることができた。 組織に属さない個人に対してここまで配慮してくださるのは、決して当たり前のことではない。 このご恩に報いるためにも、これからも精一杯、仕事に取り組んでいきたい。

また、長男が通っている幼稚園にも大きな負担をかけてしまった。 長男はまだ 2 歳で、本来は幼稚園に通う年齢ではないが、年少組より 1 つ下のプレクラスに週 2 回通っていた。 妻が入院している事情を説明したところ、週 5 回預かってもらえることになった。 長男には少し寂しい思いをさせたかもしれないが、やむを得なかった。 急なお願いにもかかわらず、快く受け入れてくださった先生方には、心から感謝している。

さらに、妻の母がたびたび手伝いに来てくれたことも大きな支えだった。 義母が長男を見てくれている間に、髪を切りに行ったり、睡眠を取ることができた。 また、長男が好きな唐揚げやハンバーグを大量に作り置きしてくれたので、私はそれを温めるだけで済んだ。 義母の助けがなければ、この生活は成り立たなかったと思う。

この 1 年半は、私の人生の中でも最も大変な時期だった。 いつこの生活が終わるのかを考えると、精神的に耐えられそうになかったので、ひたすら「今日一日を乗り切ること」だけを考えるようにしていた。

そして、幸か不幸か、次男が予定日より 2 か月も早く生まれたことで、突然、長男との二人暮らしは幕を閉じた。

高額な国民健康保険料と日本の医療制度について

少し話がそれるが、日本の医療制度について感じたことを記しておきたい。

私は個人事業主として国民健康保険に加入しており、毎月かなりの保険料を支払っている。 正直なところ、健康には自信があり、ここ数年ほとんど病院にかかることもない。 それでも、毎月のように高額な保険料が引き落とされ、「このお金があれば、家族にもっとおいしいものを食べさせられるのに」「たまには旅行にも行きたい」と思ってしまうのが本音だ。

Twitter上でも、社会保険料が高すぎるという問題は政治家や有識者からたびたび指摘されている。

しかし今回、次男がNICUに入院したことで、自分の考え方が大きく変わった。

NICUでは、24時間365日体制で医師や看護師が常駐し、次男の命を守るために全力を尽くしてくれていた。 生まれたばかりの小さな体にチューブが何本もつながれ、そんな中でも懸命に治療を受ける姿を見て、胸が締めつけられる思いだった。 その中で、医療スタッフの皆さんの献身的な働きに、ただただ感謝しかなかった。

そんな医療を受けながら、私がNICUに支払った金額はほぼゼロだった。 これは、国民健康保険や自治体が提供する特別な医療制度によって支えられているからである。

後日、次男の退院後に請求書を見る機会があった。 もちろん、実際には高額な医療費がかかっていたのだが、想像していたほどではなかった。 24時間体制であれだけの専門家に囲まれ、高価な医療機器を使い、病院側の負担は相当なものだったはずだ。 それを考えると、あの金額で済んでいること自体が驚きだった。

実際、公立病院の多くは赤字経営だと聞く。 次男のように長期的な集中治療を受けても、私たち家族の自己負担がほとんどないというのは、制度として本当にありがたいことだと思う。

今回の出産では、妻の容体も安定せず、次男もNICUにお世話になるという大変な状況だった。 そのなかで、多くの医療関係者と接する機会があったが、ほとんどの方が人間的にも、専門職としても本当に素晴らしく、心から尊敬と感謝の念を抱いた。

日本の医療制度は、こうした人たちの支えによって成り立っているのだと、あらためて実感した。 毎月納めている保険料も、同じように困難な状況にある家族の支えになっているのだと思うと、少し気持ちが軽くなった。

もちろん、Twitterなどで問題提起されている「医療費の高騰」は、主に高齢者医療に関する話であり、新生児医療についての批判ではないことも理解している。

ただ、SNSの議論だけでは見えてこない現場の現実がある。 今回の経験を通して、「一度現場を見てみたら、また違った視点が生まれるのではないか」と、ふと思ったのだった。