人間力と英語力

海外に行くたびに自分の英語力に絶望する。

この絶望を忘れないために、イタリア・スイス旅行での出来事を記録しておく。 国際会議での発表ももちろん絶望したのだが、いったんこれは置いておく。

チューリッヒから関空に帰る際、トランスファーでバンコクを経由した。

チューリッヒからバンコクからの機内で、ABC席で30歳半ばぐらいのお母さんと、6歳ぐらいの女の子、4歳ぐらいの男の子が座っていた。もちろん、子ども達は大騒ぎである。お母さんは周りを気にしながら、子ども達を一生懸命なだめていた。

私の席は D 席で、通路を挟んで隣であった。私自身もやんちゃな 3 歳の男の子と生まれたての赤ちゃんがいるので、子どもの騒ぎ声はまったく気にならず、本を読みふけっていた。

離陸して 2 ~ 3 時間後に、ふと隣の席の男の子が私に向かって、袋に入ったクッキーを差し出してきた。

「クッキー、どうぞ」と言っているように見えた。私は何がおきたのか分からなかったが、子どもが差し出してくれたので、ありがたく受け取った。とりあえず、「Thank you!」とだけいった。

クッキーの袋には、とてもかわいいイラストで、子ども達がうるさいかもしれないけど、許してねというメッセージが書いてあった。 (実際にはもっとユーモアがある表現であった)

自分はこれを見て感動したのだが、この感謝の気持ちを英語で伝えることができずにいた。

私は 2 つの点で絶望した。

  1. 自分が同じ立場だったら、周囲の人に同じように気遣いができるだろうか
  2. 英語で感謝の気持ちを伝えることができなかった

人間は必ず忘れてしまう生き物である。この絶望を与えてくれたお母さんと子ども達のことを忘れないために、ここに記録しておく。

いつの日にか、自分の考えを表現できるレベルまで英語を勉強し、周囲の人に気遣いできるような人間になり、感謝の言葉を英語で伝えられるようになりたい。